音声ガイドができあがるまで
※下のフロー図で工程部分をクリックすると、解説文にジャンプします。
1.準備
クライアント様へのお願い。
まず本編と同尺の映像素材、完成台本、そのほか音声ガイド制作の参考となる資料をご提供ください。可能でしたら、試写にも参加させていただければ助かります。モニター画面で判別しにくい点などを確認することができます。
また、原稿のチェックや映像についての質問に対応してくださる監修を決めてください。
CAPのコーディネーターは、
・制作スタッフ(ディスクライバー、アドバイザー、視覚障がい者モニター)の決定
・スケジュールの調整
・素材の確認、配布
などを行います。
2.原稿作成
音声ガイドの原稿を書きあげるライターのことをディスクライバーと言います。欧米では音声ガイドのことをAudio Description(オーディオディスクリプション)ということから、こう呼ぶようになりました。
セリフや効果音になるべく重ならないよう、どこにどんなガイドが必要かを考え、適切な言葉を選択していきます。1分の映像に平均20分の制作時間を要すと言われています。
そのほか、正確を期すため、時代背景や名称などの調べものに費やされる時間もあります。そうして書き上げた原稿が、客観性を保っているか、「きく」だけでどの程度ストーリーを掴めるかなどをチェックするのがアドバイザーです。
モニターにききたいこと、監修に質問したいことをディスクライバーとアドバイザーが洗い出します。
3.モニター会
CAPでは必ずモニター会を実施しています。
参加者はモニター(複数名)、ディスクライバー、アドバイザー、監修ほか関係者がひとつのテーブルを囲んで意見交換します。
モニターの意見を中心にきくことになりますが、ここで演出意図の確認や、細かい表現の方向性を決定していきます。
どんな声のナレーターが相応しいかなども話し合います。
2時間の映画の場合、終日の検討会となります。
4.原稿完成
モニター会の当日だけでなく、その前後にわたり、監修やモニターに随時相談したりチェックしていただきながら収録用の原稿を完成させます。
5.収録・編集
ディスクライバーが書いている原稿は、音声ガイドの設計図です。
事前にナレーターとスタジオのミキサーに送られます。収録当日は、基本的にディスクライバーがディレクターを務め、アドバイザー、監修ほか関係者も立ち会います。
録音のあと、音声ガイドのタイミングやレベル調整などの編集作業を行います。2時間の映画の場合、録音だけで5~6時間かかります。
6.完成
完成した音声ガイドが、劇場公開用に提供される場合は、試写を経て全国の映画 館で音声ガイド付きで上映されることになります。スマートフォンやタブレットなどに携帯端末用のアプリをインストールし、作品ごとに音声ガイドデータをダウンロードして音声ガイドを聞いていただきます。